国際経済学計算ツール付き

比較優位は、機会費用で計算する

「生産時間が短い国」を選ぶだけでは、絶対優位しか判定できません。 比較優位では、ある財を作るためにもう一方の財をいくつ諦めるかを比べます。入力式ツールで計算手順を体に入れましょう。

執筆・編集:編集責任者:管理人(中小企業診断士・令和7年登録)目安:15
2国2財の比較優位を機会費用の小さい国で判定する計算手順の図解
比較優位は生産時間の短さではなく機会費用の小ささで判定

絶対優位とは?

同じ財をより少ない資源・時間で生産できること。生産性そのものの高さを比べます。

判定:必要時間が短い方

比較優位とは?

同じ財をより低い機会費用で生産できること。国内での相対的な得意さを比べます。

判定:機会費用が小さい方

Try it

4つの時間から比較優位を自動判定

初期値ではA国が両財に絶対優位を持ちます。それでも比較優位がA国とB国に分かれることを確認してください。

Interactive calculator

比較優位を機会費用で判定

各財を1単位つくるのに必要な労働時間を入力してください。数値はブラウザ内だけで計算され、送信・保存されません。

A国の必要労働時間

B国の必要労働時間

計算結果

比較優位の計算結果。X財はA国、 Y財はB国です。

1. 機会費用

X財1単位の機会費用Y財1単位の機会費用
AY財 0.5単位X財 2単位
BY財 2単位X財 0.5単位

2. 優位の判定

X財(小麦)

比較優位A国
絶対優位A国

Y財(布)

比較優位B国
絶対優位A国

3. 交易条件の範囲

X財1単位と交換するY財が、 0.5単位より多く、2単位より少ないとき、特化する両国に貿易利益が生じ得ます。

判定順は「必要時間の大小」ではなく、まず機会費用を計算し、低い国を選びます。 絶対優位を両方持つ国がいても、比較優位は両国に分かれることがあります。

Calculation steps

機会費用の求め方|「割る順番」を言葉にする

機会費用とは、ある選択のために諦めた最善の選択肢の価値です。2国2財の比較優位では、X財を1単位作る間に生産できたはずのY財の数量を求めます。単なる所要時間の短さではなく、この比率が小さい国を選びます。

1

何を1単位つくるか決める

X財の比較優位を調べるなら、X財1単位をつくるときに諦めるY財の数量を求めます。

2

「つくる財 ÷ 諦める財」の必要時間

X財の機会費用(Y財単位)= X財の必要時間 ÷ Y財の必要時間。単位まで書くと逆算ミスを防げます。

3

同じ財について国同士を比べる

X財の機会費用が低い国はX財、Y財の機会費用が低い国はY財に比較優位を持ちます。

分数が不安なら日本語で確認

X財に1時間、Y財に2時間かかるなら、X財を作る1時間でY財は0.5単位作れます。 だからX財1単位の機会費用はY財0.5単位です。

Worked example

A国が両財で速くても、B国にも役割がある

X財の時間Y財の時間比較優位
A国1時間2時間X財
B国6時間3時間Y財

A国は両財を短時間で作れるため両方に絶対優位があります。しかしX財の機会費用はA国0.5Y、B国2YなのでA国がX財に比較優位。 Y財の機会費用はA国2X、B国0.5XなのでB国がY財に比較優位です。

Exam traps

比較優位で落としやすい4つの誤り

生産時間だけを横に比較する

それは絶対優位の判定。比較優位では国ごとに機会費用へ変換します。

割る順番を逆にする

X財の機会費用は「X財の時間 ÷ Y財の時間」。単位をY財と書いて確認します。

比較優位と絶対優位は必ず一致する

一致しないことがあります。生産性が高い国も相対的により得意な財へ特化します。

交易条件を端点に置く

機会費用と同じ端点では一方の利益がゼロ。通常は両国の機会費用の間を選びます。

Official exam evidence

本試験ではここが問われた

平成29年度 第1次試験「経済学・経済政策」第20問を出題例として確認しました。 公式問題文・選択肢は転載せず、教材で確認すべき読み取り方だけを整理しています。

この教材で確認するポイント
  • 2国2財の生産性を、絶対優位と比較優位に分けて判断する
  • 比較優位財への特化前後で、全体の生産量と貿易利益を比較する

出題例は論点の重要性を示す参考であり、今後の出題を保証するものではありません。

Self check

3問で判定手順を確認

まず絶対優位か比較優位かを見分け、次に機会費用を計算してください。

ここでの問題は理解確認用のオリジナル問題です。公式過去問の転載ではありません。

確認 1

A国がX財・Y財の両方をB国より短時間で生産できる。この事実だけから言えることはどれか。

確認 2

A国はX財に4時間・Y財に8時間、B国はX財に6時間・Y財に3時間かかる。X財に比較優位を持つ国はどちらか。

確認 3

X財1単位の機会費用がA国でY財0.5単位、B国でY財2単位のとき、両国に貿易利益が生じ得る交易条件はどれか。

0 / 3問 回答済み

よくある質問

Q. 比較優位はどのように計算しますか?

各国について、ある財1単位を生産するために断念するもう一方の財の数量、つまり機会費用を計算します。同じ財について機会費用が低い国が、その財に比較優位を持ちます。

Q. 絶対優位と比較優位の違いは何ですか?

絶対優位は、同じ財をより少ない資源や時間で生産できるかという生産性の比較です。比較優位は、他の財をどれだけ断念するかという機会費用の比較です。

Q. 一方の国が両方の財で絶対優位でも、貿易利益は生じますか?

機会費用が両国で異なれば生じ得ます。生産性が高い国も、相対的に得意な財へ特化し、相手国はもう一方の財へ特化することで、両国の消費可能性が広がります。

Q. 交易条件はどう決まりますか?

単純な2国2財モデルでは、両国の機会費用の間に交易条件があると、両国が国内生産より有利に交換できます。実際の価格は需要、交渉力、輸送費など他の要因にも左右されます。