ミクロ経済学無料・登録不要

余剰分析とは?税収と死荷重まで一度に計算

グラフの色を覚えるだけでは、税・補助金・価格規制の応用で迷います。まず誰が得る余剰かを分け、最後に合計が保存されるかを検算しましょう。

執筆・編集:編集責任者:管理人(中小企業診断士・令和7年登録)目安:12
消費者余剰、生産者余剰、税収を合計し死荷重を計算する余剰分析の図解
余剰分析は消費者余剰・生産者余剰・税収と死荷重を分けて計算

結論を先に

市場取引で生まれる便益を「面積」で測る

消費者余剰

支払意思額 − 実際の支払額

需要曲線の下・価格の上

生産者余剰

実際の受取額 − 供給に必要な額

価格の下・供給曲線の上

社会的総余剰

消費者余剰 + 生産者余剰

税があれば税収も加える

動かして確認

税額を変えて余剰の移動と損失を見る

税額0では総余剰1,600円。税額が上がるほど取引量が減り、移転される税収と失われる死荷重を分けて表示します。

需要 P=100−Q、供給 P=20+Q の市場です。税額を変えると、取引量・税収・死荷重がどう動くかを確認できます。

従量税20円
取引量
30
消費者価格
70円
生産者受取価格
50円
死荷重
100円

社会的総余剰の内訳

税収は政府へ移る余剰なので社会的総余剰に含めます。失われた三角形だけが死荷重です。

消費者余剰
450円
生産者余剰
450円
政府の税収
600円
死荷重
100円

検算:消費者余剰 + 生産者余剰 + 税収 + 死荷重 = 課税前の総余剰 1,600円

Worked example

従量税20円なら、死荷重は100円

  1. 1

    課税前の均衡

    100−Q = 20+Q より Q=40、P=60。総余剰は800+800=1,600。

  2. 2

    課税後の取引量

    消費者価格と生産者価格の差を20にするため Q=30。消費者70円、生産者50円。

  3. 3

    課税後の内訳

    消費者余剰450、生産者余剰450、税収600。合計1,500。

  4. 4

    死荷重

    1,600−1,500=100。別解は20×(40−30)÷2=100。

政策問題は「移転」と「消失」を分ける

従量税

消費者価格と生産者受取価格に税額分のくさび。税収は移転、三角形が死荷重。

補助金

取引量は増えるが、政府支出を差し引いて過剰取引による死荷重を考える。

価格規制

上限価格・下限価格で取引量がどちら側に制約されるかを先に確認する。

余剰分析で落としやすい4点

税収を死荷重と考える

税収は政府への移転。取引消滅で失われる部分だけが死荷重です。

課税後も同じ取引量で面積を取る

まず新しい価格差と取引量を求めてから面積を計算します。

生産者余剰を利潤と同一視する

生産者余剰は固定費を差し引く前の概念で、利潤と常に一致しません。

上限価格なら必ず余剰が増える

取引量制約や配分方法によって結果が変わります。誰が取引できるかも確認します。

Official exam evidence

本試験ではここが問われた

令和元年度 第1次試験「経済学・経済政策」第10問を出題例として確認しました。 公式問題文・選択肢は転載せず、教材で確認すべき読み取り方だけを整理しています。

この教材で確認するポイント
  • 需要曲線・供給曲線のシフト後に、消費者余剰と生産者余剰の増減を読む
  • 所得・技術・好み・原材料費の変化を、どちらの曲線が動くかへ変換する

出題例は論点の重要性を示す参考であり、今後の出題を保証するものではありません。

Self check

3問で面積計算を確認

ここでの問題は理解確認用のオリジナル問題です。公式過去問の転載ではありません。

確認 1

需要曲線の下、市場価格の上にある三角形が表すものはどれか。

確認 2

従量税20円で取引量が40から30へ減少した。直線モデルの死荷重はいくらか。

確認 3

課税後の社会的総余剰に含める組み合わせとして最も適切なものはどれか。

0 / 3問 回答済み

確認問題と数値例は診断士AI編集部によるオリジナルです。公式問題の文章・選択肢は転載していません。

試験実施団体の過去問題一覧

よくある質問

Q. 消費者余剰とは何ですか?

消費者が支払ってもよいと考える価格と、実際に支払う市場価格との差を取引量全体で合計したものです。直線の需要曲線では、需要曲線・市場価格・縦軸で囲まれた三角形の面積になります。

Q. 生産者余剰とは何ですか?

生産者が供給してもよい最低価格と、実際に受け取る市場価格との差を取引量全体で合計したものです。直線の供給曲線では、市場価格・供給曲線・縦軸で囲まれた三角形の面積になります。

Q. 税収は社会的総余剰に含めますか?

通常の余剰分析では含めます。税収は消費者・生産者から政府へ移転した余剰です。一方、課税によって成立しなくなった取引から生じる損失が死荷重です。

Q. 死荷重はどう計算しますか?

課税前の社会的総余剰から、課税後の消費者余剰・生産者余剰・税収の合計を引きます。直線の需要・供給曲線と従量税なら、税額×取引量減少÷2でも計算できます。