中小企業診断士の年収・中央値は?2026年最新調査の読み方
中小企業診断士の年収を2026年最新調査で解説。job tagの平均1,134.6万円、年間売上の中央値階級、企業内・独立・副業の違いを分母から読み解きます。
中小企業診断士の年収は、1つの平均値では答えられない
中小企業診断士の年収を調べると、1,000万円を超える数字も、会社員と変わらないという説明も見つかります。差が大きいのは、企業に勤める人の給与、独立した人の年間売上、案件ごとの報酬が混ざりやすいからです。
2026年9月15日時点で確認できる公的・団体資料から、先に結論を整理します。
| 知りたい数字 | 確認できる値 | そのまま「診断士の年収」と言えない理由 |
|---|---|---|
| job tagの賃金(年収) | 1,134.6万円 | 中小企業診断士だけでなく、対応する職業分類の統計 |
| 診断士業務の年間売上の中央値 | 正確な金額は非公表 | 年100日以上従事した564人では、中央値を含む階級が501〜800万円 |
| 1,001万円以上の年間売上 | 31.4% | 年100日以上従事した回答者の売上であり、手取りや所得ではない |
「平均年収は○万円」「中央値は○万円」と1つの数字に決めるより、どの働き方・どの分母の値かを確認する方が、資格取得後の収入を現実的に考えられます。
job tagの平均年収1,134.6万円を読むときの注意
厚生労働省の職業情報提供サイト job tag「中小企業診断士」には、令和7年賃金構造基本統計調査を加工した全国の賃金(年収)として1,134.6万円が掲載されています。平均年齢は39.4歳、労働時間は月162時間です。
ただし、同じページは、この統計が中小企業診断士の属する主な職業分類「その他の経営・金融・保険の専門的職業」などに対応したもので、必ずしも中小企業診断士だけの統計ではないと明記しています。
そのため、1,134.6万円を「資格保有者全員の平均年収」や「合格すれば得られる年収」とは読めません。企業内診断士の給与は勤務先、職種、役職、経験によって決まり、資格による変化だけをこの統計から切り出すこともできません。
年間売上の中央値が含まれるのは501〜800万円の階級
日本中小企業診断士協会連合会が2026年5月に公表した中小企業診断士活動状況アンケート調査は、都道府県協会に所属する会員中小企業診断士を対象に、2025年11月時点で実施した調査です。回答は1,847人でした。
年間売上の設問は、全回答者ではなく、前年に中小企業診断士業務を100日以上行った564人が対象です。
| 診断士業務の年間売上 | 回答割合 |
|---|---|
| 300万円以内 | 12.4% |
| 301〜400万円 | 9.9% |
| 401〜500万円 | 9.2% |
| 501〜800万円 | 20.2% |
| 801〜1,000万円 | 16.0% |
| 1,001〜1,500万円 | 16.5% |
| 1,501〜2,000万円 | 8.2% |
| 2,001万円以上 | 6.7% |
| 無回答 | 0.9% |
公表値を低い階級から足すと、500万円以下で31.5%、800万円以下で51.7%になります。したがって、中央値を含む階級は501〜800万円です。個票や階級内の分布は公表されていないため、正確な中央値を「650万円」などと計算することはできません。
また、これは「年間売上」の分布です。独立事業者の売上からは、事務所、交通、通信、外注などの経費が生じます。税金や社会保険料も異なるため、売上を会社員の額面年収や手取りと直接比較しないでください。
年間売上1,001万円以上は対象者の31.4%
同じ最新調査では、年間売上が1,001万円以上の回答割合は合計**31.4%**です。内訳は1,001〜1,500万円16.5%、1,501〜2,000万円8.2%、2,001〜2,500万円3.0%、2,501〜3,000万円0.9%、3,001万円以上2.8%です。
この31.4%の分母は、協会会員1,847人全体ではなく、診断士業務を年100日以上行い、年間売上の設問対象となった564人です。さらに数字は所得ではなく売上です。「診断士の3人に1人が年収1,000万円超」と言い換えると、分母と指標の両方が変わってしまいます。
資格取得後の収入可能性を見る材料にはなりますが、合格者全体の到達率や収入保証を示す数字ではありません。
企業内診断士は、資格だけで給与が決まらない
最新調査の職業区分では、企業内診断士が37.4%、プロコン診断士が58.9%でした。この構成も、都道府県協会の会員を対象にした調査結果であり、資格保有者全体の構成とは限りません。
資格取得時の評価を尋ねた問11は、協会会員の回答者1,847人全員が対象の複数回答です。次の結果でした。
| 勤務先・関係先からの評価 | 回答割合 |
|---|---|
| 昇給・昇格した | 4.8% |
| 資格手当が支給された | 14.7% |
| 資格を生かせる部署に配置された | 8.9% |
| 上司・同僚から良い評価を得た | 21.5% |
| 評価・処遇に変化はなかった | 35.5% |
資格手当や昇給の例はありますが、資格取得だけで全員の給与が上がるわけではありません。勤務先の手当規程、異動制度、副業規程を取得前に確認する必要があります。
会社等に勤める617人への設問では、副業を全面的に認める勤務先が19.1%、許可制など一部認める勤務先が60.0%でした。合計79.1%ですが、診断士活動が必ず許可されるという意味ではありません。届出、競業、秘密保持、労働時間の条件は勤務先ごとに確認します。
独立・副業の収入は「単価×日数」だけでは決まらない
最新調査の問19は、診断士業務を行っていると答えた1,383人が、依頼のきっかけを最大3つ選び、1〜3位を付けた設問です。第1位として多かったのは、中小企業支援機関・商工団体等からの紹介20.1%、県協会からの紹介15.9%、相談窓口9.5%で、ユーザー企業からの直接依頼は8.5%でした。
これらは各経路を第1位に選んだ人数を1,383人で割った値です。複数の経路を使う人の割合や、全資格保有者の割合ではありません。
仕事を得るまでの営業、紹介関係の構築、提案、移動、請求、学習など、報酬が発生しない時間もあります。公開されている1日あたり報酬に稼働可能日数を掛けるだけでは、年間の売上や所得を正確に予測できません。
独立を検討するときは、次の数字を分けて試算します。
- 受注できる案件数と、報酬が発生する日数
- 営業・準備・移動・事務を含む総作業時間
- 外注、交通、設備、保険などの経費
- 既存の給与・福利厚生・社会保険との差
- 特定の取引先や紹介元への依存度
資格取得の費用対効果を自分の条件で考える
年収だけで受験を決める前に、現在の仕事で資格をどう使うかを具体化します。
企業内で使う場合
- 資格手当の有無と金額
- 経営企画、事業開発、融資、支援部門などへの異動可能性
- 昇格要件への位置づけ
- 副業の可否と申請手順
副業で使う場合
- 平日夜・休日に使える時間
- 本業の経験と組み合わせられる支援分野
- 最初の案件を得る経路
- 勤務先の競業・秘密保持ルール
独立を考える場合
- 生活費を賄えるまでの運転資金
- 見込み客と継続契約の有無
- 売上ではなく経費控除後の所得
- 収入が少ない月を含む資金繰り
中小企業診断士の学習範囲を知ることは、この判断にも役立ちます。経済、財務、企業経営、運営管理、法務、情報、中小企業政策の7科目を短く試すと、自分の本業と結びつく分野、学習負担、続けやすさが見えます。
よくある質問
中小企業診断士の年収中央値はいくらですか?
資格保有者全体の正確な年収中央値は、今回確認した資料では公表されていません。2026年5月の協会調査では、診断士業務を年100日以上行った回答者の年間売上について、中央値を含む階級が501〜800万円です。正確な中央値や手取り額ではありません。
平均年収1,134.6万円は本当ですか?
job tagに掲載されている値ですが、中小企業診断士だけを集計した数字ではありません。対応する職業分類の令和7年賃金構造基本統計調査を加工した値なので、資格保有者全員の平均として扱わないでください。
中小企業診断士なら年収1,000万円を目指せますか?
最新調査には診断士業務の年間売上が1,001万円以上の回答者がいます。ただし、対象は年100日以上業務を行った人で、数字は経費控除前の売上です。資格だけで到達できることや、到達確率を示してはいません。
企業内診断士でも年収は上がりますか?
協会会員の回答者1,847人全員を対象にした複数回答では、昇給・昇格、資格手当、配置転換につながった回答がある一方、評価・処遇に変化がなかった回答も35.5%ありました。資格保有者全体の発生率ではなく、回答項目同士は重複します。勤務先の制度と、取得後に担う仕事で変わります。
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調査条件: 本記事は2026年9月15日に、厚生労働省job tagと日本中小企業診断士協会連合会の2026年5月公表資料を照合して作成しました。給与・売上・所得・報酬を区別し、公表されていない正確な中央値や資格保有者全体の年収は推定していません。
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