マズローの欲求段階説とハーズバーグの二要因理論とは?|「給料を上げても社員がやる気を出さない理由」がわかる
マズローの欲求5段階説とハーズバーグの二要因理論(動機づけ・衛生理論)をわかりやすく解説。給料では解決できないモチベーション問題の本質と、診断士試験での出題パターン。
「給料を上げたのに、社員のやる気が上がらない」問題
経営者からよく聞く悩みです。
「ベースアップしたのに、離職率が下がらない」 「賞与を増やしたのに、モチベーションが上がらない」
なぜか。マズローとハーズバーグの理論を知れば、この謎が解けます。
マズローの欲求5段階説
「人間の欲求には5つのレベルがあり、低いレベルが満たされると、次のレベルの欲求が生まれる」
ピラミッドの下から順に:
| レベル | 欲求 | 会社に当てはめると |
|---|---|---|
| 5(最上位) | 自己実現欲求 | 「自分の能力を最大限発揮したい」「やりがいのある仕事がしたい」 |
| 4 | 承認欲求 | 「認められたい」「昇進したい」「表彰されたい」 |
| 3 | 社会的欲求 | 「仲間が欲しい」「チームに所属したい」「孤立したくない」 |
| 2 | 安全欲求 | 「クビにならない安心感」「安定した給料」「安全な職場」 |
| 1(最下位) | 生理的欲求 | 「最低限の生活ができる給料」「休憩時間」「トイレに行ける」 |
ポイント:低い欲求が満たされていないと、高い欲求は生まれない
極端に給料が低い(レベル1〜2が未充足)のに、「やりがいを持って働け」(レベル5)と言っても無理。まず安全・安定を満たさないと、その先の欲求は出てきません。
逆に、レベル1〜3がすでに満たされている社員に対して、給料を上げても(レベル2の追加充足)、やる気は上がらない。求めているのはレベル4〜5の充足(承認・自己実現)だから。
ハーズバーグの二要因理論
ハーズバーグはもっとシンプルに整理しました。
人間のモチベーションに影響する要因は2種類ある。
衛生要因(不満を防ぐが、やる気は生まない)
| 要因 | 例 |
|---|---|
| 給与 | 「給料が安い」と不満。でも「給料が上がった」だけではやる気は出ない |
| 労働条件 | 残業が多い、オフィスが汚い → 不満の原因 |
| 人間関係 | 上司との関係が悪い → 不満の原因 |
| 会社の方針 | 理不尽なルール → 不満の原因 |
| 雇用の安定 | リストラの不安 → 不満の原因 |
動機づけ要因(やる気を生む)
| 要因 | 例 |
|---|---|
| 達成感 | プロジェクトを成功させた |
| 承認 | 上司に褒められた、表彰された |
| 仕事そのもの | 仕事の内容が面白い、やりがいがある |
| 責任 | 重要な仕事を任された |
| 成長 | 新しいスキルが身についた |
核心:「不満がない」と「やる気がある」は別物
衛生要因を整えても、不満がゼロになるだけ。 やる気を引き出すには、動機づけ要因が必要。
給料を上げる → 不満は減る(衛生要因の改善) やりがいのある仕事を任せる → やる気が出る(動機づけ要因の充足)
だから「給料を上げてもやる気が出ない」のです。 給料は「不満を消す」効果しかない。
マズローとハーズバーグの対応関係
| マズロー | ハーズバーグ |
|---|---|
| 自己実現欲求 | 動機づけ要因 |
| 承認欲求 | 動機づけ要因 |
| 社会的欲求 | 衛生要因 / 動機づけ要因(境界) |
| 安全欲求 | 衛生要因 |
| 生理的欲求 | 衛生要因 |
マズローの下位欲求 ≒ ハーズバーグの衛生要因 マズローの上位欲求 ≒ ハーズバーグの動機づけ要因
診断士試験での出題パターン
1次試験(企業経営理論)
- 「マズローの欲求段階説において、安全欲求の上位に位置する欲求はどれか」→ 社会的欲求
- 「ハーズバーグの理論における衛生要因はどれか」→ 給与、労働条件、人間関係
- 「動機づけ要因として適切なものはどれか」→ 達成感、承認、仕事のやりがい
2次試験(事例Ⅰ)
- 事例Ⅰ(組織・人事)で最頻出のテーマ。
- 「A社の従業員のモチベーション低下の原因を分析せよ」
- 「A社の人事施策として、モチベーション向上に効果的なものを提案せよ」
2次試験の解答で「給料を上げる」と書くのはNG。 衛生要因の改善でしかないから。「権限委譲」「自律的なチーム編成」「成果の可視化」など、動機づけ要因に関する施策を提案すべき。
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