会社法の機関設計の覚え方|公開会社・大会社を図表で整理【経営法務】
会社法の機関設計を、公開・非公開、大会社、委員会型から判定。取締役会・監査役・会計監査人の設置条件、会計参与の例外、人数の違いを図表と3つの例で整理します。
機関設計は「会社の条件→必要な機関」の順に覚える
会社法の機関設計は、機関名を横一列に暗記するより、会社の条件から必要な組み合わせをたどると整理できます。最初に見るのは、公開会社か、大会社か、委員会型を採用するかの3点です。
この記事では中小企業診断士の経営法務の学習向けに、会社法上の設置条件と、混同しやすい例外を図表で確認します。法令確認日は2026年9月10日。根拠はe-Gov法令検索の会社法です。
全体の勉強手順は経営法務の暗記法へ。ここでは機関設計の判定に絞ります。
最初に区別する「公開会社」と「大会社」
公開会社は、上場しているかでは判断しない
会社法上の公開会社とは、発行する株式の全部または一部について、譲渡による取得に会社の承認を必要とする定款の定めがない株式会社です。一部でもその譲渡制限がない株式があれば公開会社に当たります。
すべての株式に譲渡制限がある会社は非公開会社です。「非上場だから非公開会社」とは判断できません。問題文では上場の有無より、株式の譲渡制限を確認します。(会社法2条5号)
大会社は「資本金5億円以上、または負債200億円以上」
大会社は、貸借対照表の数値が次のいずれかを満たす株式会社です。
- 資本金として計上した額が5億円以上。
- 負債の部の合計額が200億円以上。
「両方」ではなく「いずれか」であり、5億円ちょうど・200億円ちょうども含みます。売上高や従業員数による判定ではありません。原則として最終事業年度の貸借対照表を使い、成立後最初の定時株主総会までは設立時の貸借対照表を使います。(会社法2条6号)
公開・非公開は株式の譲渡制限、大会社かどうかは資本金・負債の規模という別の軸です。「非公開の大会社」もあります。
図と表でたどる、必要な機関の基本形
株式会社の機関は、まず株主総会と1人以上の取締役を出発点にします。取締役会を置く会社では、取締役は3人以上です。(会社法295条、326条1項、331条5項)
次の図では「委員会型」を、監査等委員会設置会社と指名委員会等設置会社の2つに限って使います。
委員会型を採用する?
├ はい
│ 取締役会が必要
│ 会計監査人も必要
│ 監査役は置けない
│ ↓ 次の節へ
└ いいえ
公開・非公開 × 大会社か
↓ 下の4区分で確認
委員会型では、会社の規模や公開・非公開にかかわらず、取締役会と会計監査人が必要です。監査役を追加する形にはできません。(会社法327条1項・4項・5項)
以下は、委員会型以外の会社について、任意の機関を追加する前の基本形を示した表です。株主総会・取締役は各行に共通するため省略しています。
| 会社の条件 | 基本形で追加が必要な機関 |
|---|---|
| 公開会社・大会社 | 取締役会、監査役会、会計監査人 |
| 公開会社・大会社ではない | 取締役会、監査役 |
| 非公開会社・大会社 | 監査役、会計監査人 |
| 非公開会社・大会社ではない | この条件だけでは追加の必置機関なし |
公開会社には取締役会が必要です。委員会型以外の公開大会社には、さらに監査役会と会計監査人が必要になります。一方、非公開の大会社には会計監査人が必要ですが、大会社であることだけから取締役会や監査役会まで必須とはいえません。会計監査人を置くため、監査役は必要になります。(会社法327条1項〜3項、328条)
任意で機関を加えるときの追加条件
上の表で「必須ではない」機関も、好きな組み合わせで無条件に追加できるわけではありません。
- 監査役会を置く会社には、取締役会も必要です。
- 委員会型以外で取締役会を置く会社には、原則として監査役が必要です。ただし、非公開会社で会計参与を置く場合には例外があります。
- 委員会型以外で会計監査人を置く会社には、監査役が必要です。会計参与を置いていても、この義務はなくなりません。
覚え方は「公開なら取締役会」「委員会型以外では、会計監査人には監査役を組み合わせる」「委員会型は監査役を置かない」。そのうえで、非公開会社の会計参与に関する例外を確認します。(会社法327条1項〜5項)
会計参与と会計監査人は別の機関です。会計参与は取締役と共同して計算書類などを作成する立場で、指名委員会等設置会社では執行役と共同します。会計監査人は計算書類などを監査する立場です。名前が似ていても置き換えられません。(会社法374条1項・6項、396条1項)
監査役会と2つの委員会型は、構成員で区別する
| 機関・制度 | 構成員と社外要件 |
|---|---|
| 監査役会 | 監査役3人以上。その半数以上が社外監査役 |
| 監査等委員会 | 監査等委員である取締役3人以上。その過半数が社外取締役 |
| 指名委員会等 | 指名・監査・報酬の各委員会に委員3人以上。取締役から選定し、各委員会の過半数が社外取締役 |
監査役会の構成員は監査役ですが、監査等委員会や指名委員会等の構成員は取締役です。「誰が監査するのか」を人の立場から区別しましょう。(会社法331条6項、335条3項、399条の2第2項、400条)
人数の覚え方は「監査役会は半数以上、委員会は過半数」です。構成員が4人なら、監査役会の社外監査役は2人以上で足りますが、監査等委員会や指名委員会等の各委員会では社外取締役が3人以上必要です。構成員が3人だと、どちらも2人以上になるため、4人の例で違いを確かめると区別できます。
指名委員会等設置会社には、3つの委員会に加えて1人以上の執行役が必要です。また、監査等委員会を重ねて置くことはできません。「委員会ならどれでも同じ」ではなく、名称と構成をセットで覚えます。(会社法327条6項、402条1項)
3つの判定例で、条件の読み落としを防ぐ
以下は説明のために作成した架空の例です。いずれも株式会社で、監査等委員会・指名委員会等は採用しないものとします。貸借対照表の資本金・負債は、大会社の判定に用いる数値です。
例1:公開会社、資本金4億円、負債200億円
資本金は5億円未満ですが、負債が200億円以上なので大会社です。公開大会社の基本形に当たり、取締役会・監査役会・会計監査人が必要になります。
確認する点は、大会社の条件が「資本金と負債の両方」ではないこと、200億円ちょうども含むことです。(会社法2条6号、327条1項、328条1項)
例2:非公開会社、資本金5億円、負債10億円
資本金が5億円以上なので、非公開でも大会社です。会計監査人が必要で、それに伴い監査役も必要です。ただし、この条件だけでは取締役会・監査役会を置く義務までは生じません。
会計参与を追加しても、会計監査人を置く会社としての監査役設置義務は残ります。(会社法2条6号、327条3項、328条2項)
例3:非公開・非大会社で、取締役会と会計参与を置く
会計監査人も監査役会も置かないものとします。この場合は、非公開の会計参与設置会社に関する例外により、監査役を置かない構成が可能です。取締役会は置くので、取締役は3人以上必要です。
ここに会計監査人を追加すると、監査役も必要になります。同じ非公開会社でも、追加した機関によって判定が変わります。(会社法327条2項ただし書・3項、331条5項)
覚えた後は、条件を言い換えて確認する
復習では、次の順番で会社の条件を書き出してみてください。
- 株式の譲渡制限から、公開・非公開を判定する。
- 資本金5億円以上「または」負債200億円以上かを確認する。
- 委員会型の採用と、任意で置く機関を確認する。
- 必要な機関と、監査役を置けない場合を確認する。
- 人数を問われたら、半数以上と過半数を区別する。
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法令の根拠を復習するときは、会社法2条・326〜328条・331条・335条・400条の順に、定義、設置条件、構成員の人数を読み直してください。
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