中小企業診断士2次試験 与件文の読み方|設問と根拠を結ぶ実例
中小企業診断士2次試験の与件文を、設問の対象・要求・条件・時点から読む手順を解説。短い自作与件で、使う根拠と使わない事実、答案骨子へのつなぎ方を示します。
2次試験の与件文は、設問に使う根拠を探すために読む
中小企業診断士2次試験で与件文を読んでも、答案に何を使えばよいか決められないことがあります。最初から「強みは青、弱みは赤」と塗り分ける前に、設問が誰について、何を求めているかを確認しましょう。
2026年度の第2次試験概要では、事例Ⅰ〜Ⅳを各80分・100点で行う筆記試験と案内されています。試験実施団体は年度別の問題と、後日出題の趣旨を公開しています。出題の趣旨では、事例企業の環境を分析する力や、条件に沿って助言する力など、設問ごとに確認したい能力が示されています。
ただし、出題の趣旨は模範解答や詳細な採点基準ではありません。自分の答案を一語ずつ一致させる資料ではなく、設問が求めた分析・助言と、自分が使った根拠がずれていないかを振り返る材料にします。
先に設問を4項目へ分ける
設問を読んだら、余白に次の4点を短く書きます。
| 確認すること | 見つける言葉の例 | 読むときの目的 |
|---|---|---|
| 対象 | A社、営業部、新規顧客、既存事業 | 誰・何について答えるかを固定する |
| 要求 | 分析せよ、理由を述べよ、助言せよ | 現状説明か、原因か、施策かを分ける |
| 条件 | 価格以外、100字以内、組織面から | 答案に入れない内容を見分ける |
| 時点 | 創業時、現在、今後 | 過去の原因と将来の施策を混ぜない |
例えば「B社が若年観光客の新規購入を増やすための施策を、価格以外の面から助言せよ」なら、対象はB社と若年観光客、要求は施策の助言、条件は価格以外、目的は新規購入です。与件文に安売りの記述があっても、そのまま答案へ運ばない判断ができます。
与件文の線は「情報の種類」より「設問との関係」で引く
同じ一文でも、設問によって役割が変わります。「熟練職人がいる」は、製品開発の設問では強みになり、人手不足の設問では技能承継の課題にもなり得ます。最初から一つの色に固定せず、次の記号を設問番号と一緒に付ける方法があります。
- 根拠:設問へ直接使えそうな事実
- 制約:施策の範囲を狭める条件
- 変化:売上、顧客、組織などが動いた前後
- 意向:社長や従業員が今後しようとしていること
「根拠①」「制約③」のように設問番号を添えると、線を引いた箇所を答案骨子へ戻しやすくなります。色数は目的ではありません。鉛筆1本でも、設問との対応が分かれば十分です。
自作与件で、使う根拠と使わない事実を分ける
次は読み方を確かめるための短い自作例です。公式問題や会員向け事例の転載ではありません。
B社は地方都市で30年間続く和菓子店である。熟練職人の手作業と、地元客からの贈答需要に支えられてきた。一方、来店客は高齢化し、3年前に開設したオンライン店の新規購入は伸びていない。商品写真は担当者ごとに品質が異なり、発信も不定期である。最近、地域の観光協会から土産品の共同企画を提案された。若手従業員には短い動画の撮影経験があり、午前中の製造能力には余裕があるが、大きな広告予算は確保できない。
設問1:B社が若年観光客の新規購入を増やすため、価格以外の施策を助言せよ。
直接使いやすい根拠は、観光協会の共同企画、若手従業員の動画経験、写真品質と発信頻度の課題、広告予算の制約です。午前中の製造余力は、共同商品の供給可能性を考える補助になります。
一方、「30年間続く」「地元客の贈答需要」は事実ですが、この設問だけで必ず使うとは限りません。若年観光客へ何を届けるかと結び付けられないまま「老舗の強み」と言い換えると、与件をなぞっただけになります。
骨子の一例は次の順です。
- 課題:写真品質と発信が安定せず、新規購入につながっていない
- 施策:観光協会と土産品を企画し、若手が商品写真と短い動画を統一して継続発信する
- 効果:若年観光客との接点を作り、オンライン店へ誘導する
これは唯一の正解文ではありません。設問要求、与件の根拠、施策、期待する効果がつながっているかを確認する例です。
設問が変われば、同じ与件でも使う箇所が変わる
同じ自作与件で「既存の地元客との関係を維持する施策」を問われたら、地元客の贈答需要、30年続く店舗、熟練職人の手作業が候補になります。若年観光客向けの動画だけを書いても、設問の対象に合いません。
与件文を1回読んで全設問分を分類し切ろうとせず、設問ごとに短い対応メモを作ります。
設問1:若年観光客への施策
- 対象・要求:若年観光客へ施策を助言
- 使う根拠:観光協会、動画経験、発信課題
- 制約:価格以外、広告予算
- 骨子の動詞:共同企画する、発信する
設問2:既存客との関係維持
- 対象・要求:既存客との関係維持
- 使う根拠:贈答需要、30年、手作業
- 制約:与件にある資源
- 骨子の動詞:確認する、提案する
答案を書く前に、4項目がそろっているか見ます。与件にない設備・人材・予算を追加していないかも確認してください。
段落ごとに一文で役割を付ける
長い与件文では、段落の横に内容を一文で残します。
- 第1段落:会社の沿革と事業
- 第2段落:従来の顧客と評価された資源
- 第3段落:環境変化と現在の問題
- 第4段落:新しい相談、利用できる資源、制約
全文を要約すると時間を使うため、「誰の・何の変化か」が分かる長さにします。設問で原因を問われたら変化の前後へ戻り、助言を問われたら使える資源と制約へ戻ります。
読み方の練習は、答案までつないで振り返る
線の数や読む時間だけでは、答案に使えたか分かりません。演習後は次の順で確認します。
- 設問の対象・要求・条件・時点を書けていたか
- 答案の各要素に、対応する与件の言葉があるか
- 与件にない一般論や資源を足していないか
- 原因、施策、効果のつながりが飛んでいないか
- 不要だった線を一つ選び、次回なぜ引かないかを書く
公式問題を使うときは、先に自分の答案を作り、その後で出題の趣旨や複数の解答例と比べます。出題の趣旨に書かれた能力を、そのまま採点語句の一覧として扱わないでください。
2次試験の公式過去問と復習手順では、年度別の公式問題と、出題の趣旨を使った復習手順を確認できます。全体の時間配分は80分の使い方、文章へ整える段階は答案の書き方で確認してください。
2次試験の学習を続ける
与件読解を実践するときは、年度別の公式過去問と復習手順で1事例を選び、設問と根拠を対応させてから、答案の書き方で骨子を文章へ整えてください。
事例Ⅳの計算を別に試したい方は、登録なしのCVP 1問体験で問題と解説を確認できます。この体験は与件読解の演習ではなく、事例Ⅳの計算問題です。
続けて演習する場合は、2次対策の7日間無料体験を利用できます。カード登録は不要で、体験終了による自動課金はありません。有料で継続する前に、料金・機能・利用条件を確認してください。
よくある質問
Q. 与件文と設問はどちらを先に読みますか?
A. 設問の対象・要求・条件を先に確認し、何を探すか決めてから与件へ入る方法があります。自分の手順を変える場合は、公式問題1事例で答案まで作り、根拠の拾い漏れが減るか確かめてください。
Q. SWOTで4色に分ける必要がありますか?
A. 必須ではありません。同じ事実でも設問により役割が変わります。色よりも、どの設問に使う根拠・制約かを対応させます。
Q. 与件にある言葉は全部使うべきですか?
A. 全部を答案へ入れる必要はありません。設問の対象と要求に直接つながる情報を選び、使わない事実も区別します。
Q. 出題の趣旨と同じ言葉なら得点になりますか?
A. 出題の趣旨は詳細な採点基準や模範解答ではありません。自分の答案が設問の要求に応え、与件の根拠とつながっているかを振り返る材料として使います。
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