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事例Ⅳ 読了 12分2026-03-11

【事例Ⅳ】CF計算書(間接法)の作り方|営業CF・投資CF・FCFの求め方を完全解説

中小企業診断士2次試験 事例Ⅳ頻出のCF計算書(キャッシュ・フロー計算書)を間接法で解く手順を完全解説。営業CF・投資CF・財務CF・FCFの計算方法と鉄則を紹介。

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「なぜ減価償却費を足すのか、本当に理解していますか?」

この質問に、「非資金費用だから」とすらすら答えられるなら、あなたはすでに間接法の本質を掴んでいる。でも「なんとなく足すって覚えてるけど……」という人は、一度立ち止まって考えてみよう。その「なんとなく」が本番での符号ミスにつながる。

間接法CF計算書の「なぜ」を理解する

P/L(損益計算書)の利益は発生主義で計算される。つまり「現金が動いたとき」ではなく「取引が発生したとき」に収益・費用を認識する。

一方、CF計算書が知りたいのは現金主義、すなわち「実際にいくら現金が増減したか」だ。

間接法は、この2つの違いを調整することで「利益→実際のキャッシュの動き」を再現する手法だ。

例として減価償却費を考えよう。

  • P/Lでは「減価償却費200万円を費用として計上」→ 利益が200万円減る
  • でも実際には現金は1円も出ていっていない(設備購入時にすでに支払済み)
  • だからCF計算書を作るとき、「利益に戻して」実際の現金の動きに近づける

これが「減価償却費を足す」理由だ。**「現金が出ていない費用を引いてしまった分を、足し戻す」**と理解しよう。

間接法CF計算書の全体像

Ⅰ 営業活動によるCF
  税引前当期純利益
  + 減価償却費(非資金費用の加算)
  + 貸倒引当金の増加
  − 受取利息 / + 支払利息(営業外項目の除外)
  ± 固定資産売却損益(投資項目の除外)
  − 売上債権の増加(運転資本の調整)
  − 棚卸資産の増加
  + 仕入債務の増加
  + 利息受取額 / − 利息支払額
  − 法人税等の支払額
  = 営業CF

Ⅱ 投資活動によるCF
  − 有形固定資産の取得
  + 有形固定資産の売却
  = 投資CF

Ⅲ 財務活動によるCF
  ± 借入金の増減
  − 配当金の支払
  = 財務CF

間接法の3つの鉄則

鉄則1:非資金費用は加算

減価償却費や貸倒引当金の増加は、P/L上では費用として利益を減らしているが、現金は1円も出ていっていない。だから足し戻す。

シンプルに覚えるなら:「現金が動かない費用 → 足す」

鉄則2:営業資産↑はマイナス、営業負債↑はプラス

ここが符号ミスの温床だ。「なぜ売上債権が増えるとマイナスなのか」を理解していないと、本番で迷う。

項目増加した場合理由
売上債権↑マイナス売上はP/Lに計上されたが、現金がまだ入ってきていない
棚卸資産↑マイナス在庫購入に現金を使ったが、P/Lには反映されていない
仕入債務↑プラス仕入れたが現金はまだ払っていない(利益は減っているが現金は手元にある)

覚え方は「資産が増えると現金が減る(逆方向)、負債が増えると現金は手元に残る(同方向)」だ。

減少した場合は全て符号が逆になる。

鉄則3:投資・財務項目は「除外→再計上」の2段階

受取利息や支払利息、固定資産売却損益は本来は投資CF・財務CFに属する

  1. 営業CFを作るときに一度除外する(受取利息をマイナス、支払利息をプラス、売却益をマイナス)
  2. その後、投資CFまたは財務CFで改めて計上する

「営業CFから引いたら、どこかで必ず足す」と覚えよう。

実際の数値で解いてみよう

G社の前期・当期のB/SとP/Lを使って、営業CFの主要部分を計算する。

G社データ(抜粋)

  • 税引前当期純利益:100百万円
  • 減価償却費:30百万円
  • 支払利息:5百万円
  • 法人税等(P/L):40百万円
  • 売上債権:前期50百万円 → 当期60百万円(10百万円増加)
  • 棚卸資産:前期30百万円 → 当期25百万円(5百万円減少)
  • 仕入債務:前期40百万円 → 当期48百万円(8百万円増加)
  • 未払法人税:前期15百万円 → 当期18百万円

法人税等の支払額 = 前期未払法人税(15) + 当期法人税等(40) − 当期未払法人税(18) = 37百万円

営業CF計算

項目金額
税引前当期純利益100
+ 減価償却費+30
+ 支払利息(除外)+5
− 売上債権の増加(+10)−10
+ 棚卸資産の減少(−5)+5
+ 仕入債務の増加(+8)+8
− 利息支払額−5
− 法人税等支払額−37
営業CF合計96

符号を間違えないための覚え方

CF計算書で最も失点しやすいのが符号ミスだ。以下のルールを頭に刻もう。

資産の増加 → マイナス(現金が出ていった) 資産の減少 → プラス(現金が入ってきた) 負債の増加 → プラス(現金がまだ手元にある) 負債の減少 → マイナス(現金が出ていった)

これはB/S変動の「現金への影響」と同じ方向で考えると自然だ。

FCF(フリーキャッシュフロー)

FCF = 営業CF + 投資CF

FCFは企業が本業と投資活動を通じて手元に残せるキャッシュ。FCFがプラスなら投資後も資金余力がある、マイナスなら追加の資金調達が必要、という判断ができる。企業価値評価のDCF法でも使うので、意味をしっかり理解しておこう。

「符号」を間違えると連鎖して全滅する。理屈を理解して、ミスのない解答を目指そう。

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