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事例Ⅳ 読了 15分2026-03-11

【事例Ⅳ】NPV(正味現在価値)の求め方|投資判断・割引率・現価係数をわかりやすく解説

中小企業診断士2次試験 事例Ⅳ最難関のNPV(正味現在価値)を完全解説。CF計算、割引率、現価係数、回収期間法との違い、税引後CFの考え方まで具体例で徹底攻略。

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NPVが苦手で、事例Ⅳを「捨て科目」にしようとしている受験生へ。

少し待ってほしい。NPVを捨てると30〜40点を丸ごと失う可能性がある。しかもNPVは手順さえ覚えれば確実に解ける計算問題だ。苦手意識のほとんどは「最初の理解が曖昧なまま計算に入ってしまった」ことが原因なので、一度基礎から整理してみよう。

NPVの直感的な理解から始めよう

まず、こんな質問を考えてほしい。

「今の100万円」と「1年後の100万円」、どちらが価値が高いか?

答えは「今の100万円」だ。今受け取れば銀行に預けて利子が付く。1年後の100万円は、利子分だけ「今の価値より低い」。

この「お金の時間的な価値の違い」を計算に組み込んだのがNPV(正味現在価値)だ。

NPV = 将来得られるキャッシュを「今の価値」に換算した合計 − 今すぐ払う初期投資額

NPVがプラスなら「この投資は元が取れる(資本コストを超えるリターンが期待できる)」、マイナスなら「割に合わない」という判断になる。

NPV計算の5ステップ(完全解説)

F社の設備投資案を例に、一緒に解いてみよう。

F社のデータ

  • 初期投資額:1,800万円(今すぐ支出)
  • 設備の耐用年数:5年(残存価値ゼロ、定額法で減価償却)
  • 投資による毎年の売上増加:600万円
  • 投資による毎年の費用増加(減価償却費を除く):120万円
  • 法人税率:40%
  • 割引率(資本コスト):8%
  • 年金現価係数(8%・5年):3.993

ステップ1:年間の減価償却費を計算する

減価償却費 = 1,800万円 ÷ 5年 = 360万円/年

ステップ2:年間の税引後CFを計算する

ここが最重要ステップ。公式はこうだ。

年間CF = (売上増加 − 費用増加) × (1 − 税率) + 減価償却費 × 税率

= (600 − 120) × (1 − 0.4) + 360 × 0.4 = 480 × 0.6 + 360 × 0.4 = 288 + 144 = 432万円/年

後半の「減価償却費 × 税率(= 144万円)」がタックスシールドだ。

減価償却費は現金の支出を伴わない費用だが、税金の計算上は費用として差し引ける。つまり「現金は出ていかないのに、税金が安くなる」という節税効果がある。これを忘れると確実に不正解になる。公式ごと体に叩き込んでおこう。

ステップ3:割引率と現価係数を確認する

割引率は問題文に「資本コスト8%」のように与えられる。現価係数の表も通常は問題文に付いている。

割引率8%の現価係数
1年後0.926
2年後0.857
3年後0.794
4年後0.735
5年後0.681

毎年同額(432万円)が続くなら、年金現価係数を使うと一発で計算できる。

年金現価係数 = 0.926 + 0.857 + 0.794 + 0.735 + 0.681 = 3.993

ステップ4:CFの現在価値合計を求める

CF現在価値合計 = 年間CF × 年金現価係数 = 432 × 3.993 = 1,724.976万円

ステップ5:NPVを求める

NPV = CF現在価値合計 − 初期投資額 = 1,724.976 − 1,800 = −75.024万円

NPV < 0 なので、この投資案は採択すべきでないという結論になる。

残存価値がある場合の計算

設備を5年後に200万円で売却できる場合、その200万円も「5年後のCF」として現在価値に変換して加える。

追加のPV = 200 × 0.681 = 136.2万円 修正後NPV = −75.024 + 136.2 = 61.176万円(> 0 → 投資採択)

3つの絶対に外せないポイント

タックスシールドを忘れない

「減価償却費 × 税率」をCFに足すことを忘れる受験生が非常に多い。試験本番で焦ったとき抜けやすいので、計算前に必ず確認するチェックポイントにしておこう。

現価係数と年金現価係数の使い分け

  • 現価係数:各年のCFが異なる場合、年ごとに掛ける
  • 年金現価係数:毎年同額のCFが続く場合、まとめて掛けられる

問題文をよく読んで、毎年同額かどうかを確認すること。

初期投資は割り引かない

初期投資は「今この瞬間」に支払うので、現在価値そのままだ。割り引く必要はない。これを割り引いてしまうミスが稀にある。

タックスシールドを忘れると確実に不正解。公式を体に叩き込んでから本番に臨もう。

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