【事例Ⅳ】CVP分析の解き方|損益分岐点売上高・貢献利益・安全余裕率の求め方
中小企業診断士2次試験 事例Ⅳ頻出のCVP分析を完全解説。変動費率・貢献利益率・損益分岐点売上高・安全余裕率の計算手順を具体例とともにわかりやすく紹介。
「貢献利益って何?変動費と固定費の分類がよくわからない……」
CVP分析でつまずく受験生の多くは、最初にこの壁にぶつかる。でも安心してほしい。CVP分析は手順が完全に決まっている計算問題だ。その「型」を身体に染み込ませれば、どんな数値が来ても必ず解ける。
CVP分析の根本を理解する
まず「貢献利益」という概念を直感的に理解しよう。
たとえば1個500円の商品を売るとき、原材料費が300円かかるとする。この商品を1個売ると、手元に残るのは500 − 300 = 200円だ。この200円が「貢献利益」。
この200円は、何に「貢献」するのか?固定費の回収と、最終的な利益に貢献するのだ。
工場の家賃や人件費(固定費)は、商品が売れなくても発生し続ける。だから売れるたびに200円ずつ貯まっていき、固定費を全部回収できた瞬間から、その200円がそのまま利益になる。その「回収できた瞬間の売上高」が損益分岐点売上高だ。
4ステップの計算手順
具体的な数値で手順を追っていこう。
E社のデータ
- 売上高:500百万円
- 変動費:300百万円(原材料費・外注費)
- 固定費:120百万円(人件費・減価償却費・家賃)
ステップ1:変動費率を求める
変動費率 = 変動費 ÷ 売上高 = 300 ÷ 500 = 0.6(60%)
売上の60%がコストとして消える、ということ。
ステップ2:貢献利益率を求める
貢献利益率 = 1 − 変動費率 = 1 − 0.6 = 0.4(40%)
売上1円のうち40銭が「固定費回収と利益のための資金」になる。
ステップ3:損益分岐点売上高を求める
損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ 貢献利益率 = 120 ÷ 0.4 = 300百万円
売上が300百万円になったとき、ちょうど利益ゼロ(黒字転換点)。
ステップ4:安全余裕率を求める
安全余裕率 = (売上高 − 損益分岐点売上高) ÷ 売上高 × 100 = (500 − 300) ÷ 500 × 100 = 40%
今の売上が損益分岐点より40%も余裕があることを示す。この値が高いほど経営が安定している。
「目標利益達成売上高」の求め方
試験でよく出るのが「営業利益〇〇百万円を達成するには、売上高がいくら必要か?」という問い。
目標利益達成売上高 = (固定費 + 目標利益) ÷ 貢献利益率
例:固定費120百万円、目標利益80百万円、貢献利益率40%の場合 → (120 + 80) ÷ 0.4 = 500百万円
固定費だけでなく目標利益分も「回収しなければならない額」と考える。そう思えばこの公式は自然に導ける。
税引後利益が目標のケース
「税引後利益36百万円を達成するには?(法人税率40%)」という問題も頻出だ。
まず税引後利益から税引前利益(=目標営業利益)に換算する。
税引前目標利益 = 税引後目標利益 ÷ (1 − 税率) = 36 ÷ 0.6 = 60百万円
あとは通常通り。 → 目標利益達成売上高 = (120 + 60) ÷ 0.4 = 450百万円
試験本番の落とし穴
変動費と固定費の分類は与件文で決まる
「人件費は固定費」「原材料費は変動費」という大原則はあるが、問題文が「人件費は売上高に比例する」と書いていれば、その問題では変動費として扱う。与件文の指示に従うことが鉄則だ。
「貢献利益」と「限界利益」は同じ意味
試験によってどちらの言葉も使われる。混乱しないように。
単位の罠に注意
売上高が「百万円」なのに費用が「千万円」の単位で書かれているケースがある。計算前に単位を確認する習慣をつけよう。
CVP分析は「型」が決まっているので、手順を覚えれば必ず解ける。大事なのは反復練習だ。
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