【事例Ⅳ】経営分析の解き方を完全攻略|収益性・効率性・安全性の指標一覧と計算手順
中小企業診断士2次試験 事例Ⅳの経営分析を徹底解説。収益性(売上高営業利益率等)、効率性(総資本回転率等)、安全性(自己資本比率等)の計算手順と指標の選び方を具体例で解説。
「毎年必ず出る。でも、どの指標を選べばいいかわからない」
その悩みを持っている受験生は多い。経営分析は事例Ⅳの第1問にほぼ毎年登場し、配点は25〜30点。ここを落とすと、後の問題でどれだけ頑張っても合格ラインが遠くなる。
逆に言えば、経営分析を確実に取れるようになるだけで、事例Ⅳの合格可能性が一気に高まる。
経営分析で使う3分類の指標
試験で使う指標は、大きく3つのカテゴリに分かれている。
| 分類 | 問いかけ | 代表指標 |
|---|---|---|
| 収益性 | 利益をどれだけ稼げているか | 売上高営業利益率、売上高経常利益率 |
| 効率性 | 資産をどれだけ有効活用しているか | 総資本回転率、有形固定資産回転率 |
| 安全性 | 財務基盤はどれだけ安定しているか | 自己資本比率、流動比率、当座比率 |
試験では「優れている指標を1つ、課題のある指標を2つ答えよ」といった形式が多い。この「選び方」が最大のポイントで、計算自体は実は難しくない。
収益性の計算式
売上高営業利益率(%) = 営業利益 ÷ 売上高 × 100
本業の稼ぐ力。事例Ⅳで最頻出の指標。
売上高経常利益率(%) = 経常利益 ÷ 売上高 × 100
営業外損益(借入金利息など)まで含めた収益力。営業利益率は良いのに経常利益率が悪ければ、借入が重いサインだ。
効率性の計算式
総資本回転率(回) = 売上高 ÷ 総資本
資産を使って売上を生み出す効率。低いほど「資産の使い方が非効率」を意味する。
有形固定資産回転率(回) = 売上高 ÷ 有形固定資産
製造業系の事例でよく出る。設備を使いこなせているかのバロメーター。
安全性の計算式
自己資本比率(%) = 純資産 ÷ 総資本 × 100
低いほど借入依存。40%以上あれば概ね安定とされる。
流動比率(%) = 流動資産 ÷ 流動負債 × 100
1年以内の支払い能力。200%以上が理想、100%未満は危険水域。
当座比率(%) = 当座資産 ÷ 流動負債 × 100
流動比率よりシビアな安全性指標。棚卸資産を除いた「すぐ使える資産」で測る。
実際の数値で解いてみよう
D社(製造業)のデータを使って、実際に計算してみる。
D社のデータ(当期)
- 売上高:500百万円
- 営業利益:25百万円
- 経常利益:15百万円
- 総資本:600百万円
- 有形固定資産:300百万円
- 純資産:180百万円
- 流動資産:150百万円(うち棚卸資産60百万円)
- 流動負債:130百万円
同業他社の指標(問題文から与えられた場合の例)
- 売上高営業利益率:8.0%
- 総資本回転率:1.20回
- 自己資本比率:45.0%
計算してみよう。
| 指標 | D社 | 同業他社 | 差 |
|---|---|---|---|
| 売上高営業利益率 | 25÷500×100 = 5.0% | 8.0% | −3.0% |
| 売上高経常利益率 | 15÷500×100 = 3.0% | — | — |
| 総資本回転率 | 500÷600 = 0.83回 | 1.20回 | −0.37回 |
| 有形固定資産回転率 | 500÷300 = 1.67回 | — | — |
| 自己資本比率 | 180÷600×100 = 30.0% | 45.0% | −15.0% |
| 流動比率 | 150÷130×100 = 115.4% | — | — |
| 当座比率 | (150−60)÷130×100 = 69.2% | — | — |
この結果を見ると、収益性(売上高営業利益率)・効率性(総資本回転率)・安全性(自己資本比率)の3つが同業他社を下回っていることがわかる。
「課題のある指標を2つ」と問われたら、差が最も大きいものを選ぶ。この場合、自己資本比率(−15.0%)と売上高営業利益率(−3.0%)あたりが候補になる。
合否を分ける「指標の選び方」の極意
「優れている指標」と「課題のある指標」の差は、与件文にある。
これが経営分析の本質だ。
数値で差があっても、与件文に根拠がなければ選んではいけない。たとえば「設備が古く稼働率が低い」という記述があれば有形固定資産回転率の課題を、「借入金が多く支払利息が重い」という記述があれば安全性の課題を選ぶ。
逆に「優れている指標」は、与件文で「強みとして語られている点」と一致するものを選ぶ。
解答を書くときの3原則
- 指標名を正確に書く:「営業利益率」ではなく「売上高営業利益率」
- 計算値を必ず書く:「5.0%」と明記する
- 与件文の根拠を1文で添える:「原材料費の高騰により収益性が低下している」
よくある失点パターン
- 回転率に「%」をつける(単位が違う。「回」が正しい)
- 指標数を指定より多く書く(余分な指標は減点対象になりえる)
- 数値を計算したが与件文と噛み合わない指標を選ぶ
まず経営分析から始めよう
事例Ⅳの学習は経営分析からスタートするのが正解だ。計算はシンプルで、手順が決まっている。ここで25点を固める感覚を掴むと、事例Ⅳ全体への自信につながる。
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