ROEとROAの違いとは?|「大家さん」と「投資家」の視点で理解する経営指標
ROE(自己資本利益率)とROA(総資産利益率)の違いを「不動産投資」にたとえてわかりやすく解説。デュポン分析、財務レバレッジとの関係、診断士試験での計算パターンを初心者向けに解説。
ROEとROAを30秒で理解する
ROEは「株主のお金でどれだけ儲けたか」、ROAは「会社の全財産でどれだけ儲けたか」です。
不動産投資で考えます。
あなたが3,000万円のマンションを買って賃貸に出しました。
- 自己資金:1,000万円
- 銀行ローン:2,000万円
- 年間の賃貸収入(利益):150万円
ROE = 利益 ÷ 自己資本 = 150万 ÷ 1,000万 = 15% 「自分のお金1,000万に対して15%のリターン」
ROA = 利益 ÷ 総資産 = 150万 ÷ 3,000万 = 5% 「マンション全体3,000万に対して5%のリターン」
ROEの方が数字が大きい。 なぜなら、借金(レバレッジ)を使っているから。自分のお金は1,000万しか使っていないのに、3,000万分の投資ができている。これが財務レバレッジの効果です。
公式まとめ
| 指標 | 計算式 | 見ている視点 |
|---|---|---|
| ROE | 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100 | 株主の視点(株主のお金でどれだけ稼いだか) |
| ROA | 当期純利益 ÷ 総資産 × 100 | 経営者の視点(全資産でどれだけ稼いだか) |
ROEが高い = 株主にとって魅力的な会社 ROAが高い = 資産を効率的に使っている会社
デュポン分析(ROEの分解)— 超重要
ROEは3つの要素に分解できます。これがデュポン分析です。
ROE = 売上高純利益率 × 総資産回転率 × 財務レバレッジ
| 要素 | 意味 | 上げるには |
|---|---|---|
| 売上高純利益率(利益÷売上) | 「どれだけ利幅が大きいか」 | コスト削減、高付加価値化 |
| 総資産回転率(売上÷総資産) | 「資産をどれだけ活用しているか」 | 在庫削減、遊休資産の処分 |
| 財務レバレッジ(総資産÷自己資本) | 「どれだけ借金を活用しているか」 | 借入を増やす(リスクも増える) |
具体例
| A社 | B社 | |
|---|---|---|
| 純利益率 | 5% | 2% |
| 資産回転率 | 1.0回 | 3.0回 |
| レバレッジ | 2.0倍 | 2.0倍 |
| ROE | 10% | 12% |
A社は利益率が高いが資産の回転が遅い(重厚長大型)。B社は利益率は低いが資産をガンガン回している(薄利多売型)。ROEの数字だけでは経営の質はわからない。分解して初めて実態が見える。
ROEの「罠」
ROEが高い = 良い会社、とは限らない。
借金を増やせばレバレッジが上がり、ROEは上がります。しかし、借金が多すぎると倒産リスクが高まる。
ROEだけを見て「この会社は優秀だ」と判断するのは危険です。必ずROAとセットで見る。 ROEが高くてROAが低い場合は、「レバレッジに頼っている」可能性があります。
診断士試験での出題パターン
1次試験(財務・会計)
- 「ROEをデュポン分析で分解せよ」
- 「ROAが低下した原因を、売上高純利益率と総資産回転率から分析せよ」
- 「財務レバレッジが高い企業のリスクを述べよ」
2次試験(事例Ⅳ)
- 「A社の収益性を分析せよ」→ ROE・ROAを計算し、デュポン分析で原因を特定
- 「A社の財務上の課題を述べよ」→ レバレッジが高すぎる、回転率が低い、etc.
事例ⅣでROE/ROAを計算させる問題は、ほぼ毎年出ます。 デュポン分析の3要素を暗記ではなく理解しておくことが重要です。
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