キャッシュフロー計算書(CF計算書)とは?|「財布の中身」で理解する第3の財務諸表
キャッシュフロー計算書を「家計の現金管理」にたとえてわかりやすく解説。営業CF・投資CF・財務CFの読み方、PLとの違い、フリーキャッシュフローの計算方法を初心者向けに解説。
キャッシュフロー計算書を30秒で理解する
キャッシュフロー計算書は「財布の中身がどう増減したかの記録」です。
年収500万円のサラリーマンがいるとします。P/L(損益計算書)的には「500万円稼いだ」。
しかし、財布の中身を見ると:
- 住宅ローンで200万円が出ていった
- 車を150万円で買った
- 実際に手元に残ったのは100万円
「稼いだ額」と「手元に残った額」は違う。 この「手元に残った額=キャッシュの動き」を記録するのがキャッシュフロー計算書です。
3つのキャッシュフロー
キャッシュフロー計算書は、お金の動きを3つに分類します。
1. 営業キャッシュフロー(営業CF)
「本業で稼いだ現金」
サラリーマンで言えば「給料」。会社で言えば「商品を売って得た現金 − 仕入や経費で支払った現金」。
プラスが正常。マイナスは危険信号。 本業で現金を稼げていない会社は、遅かれ早かれ行き詰まります。
2. 投資キャッシュフロー(投資CF)
「将来のために使った現金」
サラリーマンで言えば「資格の勉強代」や「マイホーム購入」。会社で言えば「工場の建設」「設備の購入」「他社の買収」。
マイナスが正常。 将来に投資している証拠。プラスの場合は「資産を売却してお金を作っている」状態で、それ自体は悪くないが、理由を確認すべき。
3. 財務キャッシュフロー(財務CF)
「お金の借り入れと返済」
サラリーマンで言えば「住宅ローンの借入と返済」。会社で言えば「銀行からの借入」「社債の発行」「配当金の支払い」。
成長企業はプラス(資金調達中)、成熟企業はマイナス(借金返済中・配当支払中)が一般的。
「健全な会社」のCFパターン
| 営業CF | 投資CF | 財務CF | 状態 |
|---|---|---|---|
| + | − | − | 🟢 優良企業。 本業で稼ぎ、投資し、借金を返済 |
| + | − | + | 🟡 成長企業。 本業で稼ぎつつ、借入で積極投資 |
| + | + | − | 🟡 資産売却中。 リストラ・事業整理の可能性 |
| − | − | + | 🔴 要注意。 本業赤字を借金で補填 |
| − | + | + | 🔴 危険。 資産を切り売りし借金もしている |
試験では「このCFパターンからA社の状態を読み取れ」という形で出題されます。
P/L(損益計算書)との違い
**「黒字倒産」**という言葉を聞いたことがありますか?
P/L上は利益が出ている(黒字)のに、手元の現金が足りなくて支払いができず倒産する。これが黒字倒産です。
| P/L(損益計算書) | CF計算書 | |
|---|---|---|
| 記録するもの | 利益(売上 − 費用) | 現金の増減 |
| タイミング | 売上を「計上」した時点 | 現金が「動いた」時点 |
| 例 | 100万円の売上を計上(まだ入金されていない) | 入金された50万円だけ記録 |
P/Lは「儲かっているか」、CFは「お金が回っているか」。 両方見ないと会社の本当の姿はわかりません。
フリーキャッシュフロー(FCF)
FCF = 営業CF + 投資CF
「本業で稼いだ現金」から「投資に使った現金」を引いた残り。会社が自由に使えるお金です。
FCFがプラス → 借金返済にも配当にも新規投資にも使える FCFがマイナス → 外部から資金調達しないと回らない
FCFが安定してプラスの会社は、財務的に健全です。 企業価値評価(DCF法)でも、FCFが基礎になります。
診断士試験での出題パターン
1次試験(財務・会計)
- 「間接法によるキャッシュフロー計算書の作成」→ 当期純利益からスタートして調整
- 「減価償却費はCF計算書でどう扱われるか」→ 営業CFに加算(現金支出を伴わない費用だから)
2次試験(事例Ⅳ)
- 「A社のキャッシュフロー計算書を作成し、財務上の課題を述べよ」
- 「設備投資がFCFに与える影響を分析せよ」
「減価償却費の加算」は毎年のように出ます。 理由は「P/Lでは費用として引いたけど、実際にお金は出ていないから、CF計算では戻す」。これだけ覚えてください。
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