【事例Ⅳ】企業価値評価の解き方|WACC・DCF法・ターミナルバリュー・理論株価の求め方
中小企業診断士2次試験 事例Ⅳの企業価値評価を完全解説。WACC(加重平均資本コスト)、DCF法による事業価値、ターミナルバリュー、理論株価の計算手順を具体例で紹介。
企業価値評価は事例Ⅳの「集大成」
企業価値評価は、経営分析・CVP・NPV・CF計算書の知識をすべて統合した事例Ⅳの最終テーマです。M&Aの判断や理論株価の算出で出題され、正答できれば大きなアドバンテージになります。
WACC(加重平均資本コスト)の求め方
WACCは企業の「資金調達コスト」を加重平均したもので、DCF法の割引率として使います。
WACC = 負債比率 × 負債コスト × (1 − 税率) + 株主資本比率 × 株主資本コスト
具体例
- 負債 400百万円(コスト3%)、株主資本 600百万円(コスト10%)、税率30%
負債比率 = 400 ÷ 1,000 = 40% 株主資本比率 = 600 ÷ 1,000 = 60%
WACC = 0.4 × 3% × (1 − 0.3) + 0.6 × 10% = 0.4 × 2.1% + 0.6 × 10% = 0.84% + 6.0% = 6.84%
なぜ負債コストに(1 − 税率)を掛けるのか?
支払利息は損金算入(税金を減らす効果がある)のため、実質的なコストは利率そのものより低くなります。これをタックスシールドと呼びます。
DCF法による企業価値の算出
DCF法は将来のFCFを現在価値に割り引いて事業価値を求める方法です。
ステップ1:各年のFCFを予測
問題文で各年のFCFが与えられるか、営業CF・投資CFから算出します。
ステップ2:ターミナルバリュー(TV)を計算
予測期間以降のFCFが一定成長すると仮定して、残存価値を計算します。
TV = 予測最終年のFCF × (1 + 成長率) ÷ (WACC − 成長率)
例:5年目FCF 100百万円、成長率1%、WACC 6.84% → TV = 100 × 1.01 ÷ (0.0684 − 0.01) = 101 ÷ 0.0584 = 1,729.5百万円
成長率ゼロの場合:TV = FCF ÷ WACC
ステップ3:事業価値を算出
各年のFCFとTVをWACCで割り引いて合計します。
事業価値 = Σ(各年FCF × 現価係数) + TV × 最終年の現価係数
ステップ4:株主価値を算出
株主価値 = 事業価値 + 非事業用資産 − 有利子負債
非事業用資産は、投資有価証券や遊休資産など、本業以外の資産です。
ステップ5:理論株価を算出
理論株価 = 株主価値 ÷ 発行済株式数
M&A判断のフレームワーク
「D社を買収すべきか」という問題では:
- D社の企業価値(DCF法)を算出
- 買収価格と比較
- 企業価値 > 買収価格 → 買収すべき
シナジー効果(売上増加やコスト削減)がある場合は、それを織り込んだFCFで再計算します。
受験生がつまずくポイント
1. WACCの負債コストに(1-税率)を掛け忘れる
最も多いミスです。株主資本コストには掛けず、負債コストにだけ掛けます。
2. TVの割引を忘れる
TVは予測最終年時点の価値なので、さらに現在価値に割り引く必要があります。
3. 非事業用資産の加算・有利子負債の控除忘れ
事業価値≠株主価値です。この調整を忘れると理論株価が大きく狂います。
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