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事例Ⅳ 読了 9分2026-03-12

【事例Ⅳ】WACC(加重平均資本コスト)の計算方法|なぜ負債に(1-税率)を掛けるのか

中小企業診断士2次試験 事例ⅣのWACCを完全解説。計算式の意味、負債コストのタックスシールド、CAPMとの関係、出題パターンと間違いやすいポイントを紹介。

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WACCとは?

WACC(Weighted Average Cost of Capital=加重平均資本コスト)は、企業が資金調達にかかるコストの加重平均です。DCF法で将来のFCFを割り引く際の割引率として使います。

WACC計算式

WACC = D/(D+E) × rD × (1−T) + E/(D+E) × rE

記号意味
D有利子負債
E株主資本(時価)
rD負債コスト(借入金利)
rE株主資本コスト
T法人税率

なぜ負債コストに(1−税率)を掛けるのか?

これが事例Ⅳで最もよく問われるポイントです。

支払利息は損金算入(税務上の費用として認められる)されるため、利息を支払うことで法人税が減ります。

具体例

借入金1,000万円、金利5%、税率30%の場合:

  • 支払利息 = 1,000 × 5% = 50万円
  • 節税額 = 50 × 30% = 15万円
  • 実質的なコスト = 50 − 15 = 35万円
  • 実質コスト率 = 35 ÷ 1,000 = 3.5% = 5% × (1 − 0.3)

つまり(1−T)を掛けることでタックスシールド効果を反映しているのです。

株主資本コストの求め方

株主資本コストは問題文で直接与えられることが多いですが、CAPM(資本資産価格モデル)で計算させる場合もあります。

rE = リスクフリーレート + β × マーケットリスクプレミアム

要素意味典型的な値
リスクフリーレート国債利回り1〜2%
β(ベータ)市場平均との連動性0.5〜2.0
マーケットリスクプレミアム株式市場の超過収益率5〜7%

例:リスクフリーレート2%、β=1.2、リスクプレミアム6% → rE = 2% + 1.2 × 6% = 9.2%

WACC計算の具体例

負債 300百万円(金利4%)、株主資本 700百万円(コスト10%)、税率30%

WACC = 300/1,000 × 4% × (1−0.3) + 700/1,000 × 10% = 0.3 × 2.8% + 0.7 × 10% = 0.84% + 7.0% = 7.84%

間違いやすいポイント

1. 株主資本コストにも(1−T)を掛けてしまう

(1−T)は負債コストだけに掛けます。配当は損金算入されないため。

2. 簿価と時価の混同

本来は時価ベースで計算しますが、試験では簿価が与えられることが多いです。問題文の指示に従いましょう。

3. WACCは「低いほうが良い」

WACCが低い = 資金調達コストが安い = 企業価値が高くなりやすい。ただし過度な借入はリスク増大。

まとめ

WACCは企業価値評価のDCF法で不可欠な割引率です。「なぜ(1−T)を掛けるか」を理解しておくことが、計算ミス防止と記述問題の両方に効きます。

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