【事例Ⅳ】WACC(加重平均資本コスト)の計算方法|なぜ負債に(1-税率)を掛けるのか
中小企業診断士2次試験 事例ⅣのWACCを完全解説。計算式の意味、負債コストのタックスシールド、CAPMとの関係、出題パターンと間違いやすいポイントを紹介。
WACCとは?
WACC(Weighted Average Cost of Capital=加重平均資本コスト)は、企業が資金調達にかかるコストの加重平均です。DCF法で将来のFCFを割り引く際の割引率として使います。
WACC計算式
WACC = D/(D+E) × rD × (1−T) + E/(D+E) × rE
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| D | 有利子負債 |
| E | 株主資本(時価) |
| rD | 負債コスト(借入金利) |
| rE | 株主資本コスト |
| T | 法人税率 |
なぜ負債コストに(1−税率)を掛けるのか?
これが事例Ⅳで最もよく問われるポイントです。
支払利息は損金算入(税務上の費用として認められる)されるため、利息を支払うことで法人税が減ります。
具体例
借入金1,000万円、金利5%、税率30%の場合:
- 支払利息 = 1,000 × 5% = 50万円
- 節税額 = 50 × 30% = 15万円
- 実質的なコスト = 50 − 15 = 35万円
- 実質コスト率 = 35 ÷ 1,000 = 3.5% = 5% × (1 − 0.3)
つまり(1−T)を掛けることでタックスシールド効果を反映しているのです。
株主資本コストの求め方
株主資本コストは問題文で直接与えられることが多いですが、CAPM(資本資産価格モデル)で計算させる場合もあります。
rE = リスクフリーレート + β × マーケットリスクプレミアム
| 要素 | 意味 | 典型的な値 |
|---|---|---|
| リスクフリーレート | 国債利回り | 1〜2% |
| β(ベータ) | 市場平均との連動性 | 0.5〜2.0 |
| マーケットリスクプレミアム | 株式市場の超過収益率 | 5〜7% |
例:リスクフリーレート2%、β=1.2、リスクプレミアム6% → rE = 2% + 1.2 × 6% = 9.2%
WACC計算の具体例
負債 300百万円(金利4%)、株主資本 700百万円(コスト10%)、税率30%
WACC = 300/1,000 × 4% × (1−0.3) + 700/1,000 × 10% = 0.3 × 2.8% + 0.7 × 10% = 0.84% + 7.0% = 7.84%
間違いやすいポイント
1. 株主資本コストにも(1−T)を掛けてしまう
(1−T)は負債コストだけに掛けます。配当は損金算入されないため。
2. 簿価と時価の混同
本来は時価ベースで計算しますが、試験では簿価が与えられることが多いです。問題文の指示に従いましょう。
3. WACCは「低いほうが良い」
WACCが低い = 資金調達コストが安い = 企業価値が高くなりやすい。ただし過度な借入はリスク増大。
まとめ
WACCは企業価値評価のDCF法で不可欠な割引率です。「なぜ(1−T)を掛けるか」を理解しておくことが、計算ミス防止と記述問題の両方に効きます。
診断士AIの企業価値トレーナーでWACC計算から練習。今すぐ試す →
📣 記事の内容を実践してみよう