NPV(正味現在価値)とIRR(内部収益率)とは?|「今の100万円と5年後の100万円は違う」を数字で理解する
NPV(正味現在価値)とIRR(内部収益率)を「定期預金」にたとえてわかりやすく解説。割引率の意味、投資判断の方法、診断士試験・事例Ⅳでの計算パターンを初心者向けに解説。
NPVを30秒で理解する
「今の100万円と、5年後の100万円、どっちが価値がある?」
答えは「今の100万円」。なぜなら、今の100万円を年利5%で運用すれば、5年後には約128万円になるから。
逆に言うと、5年後の100万円は、今の価値に直すと約78万円。 これが「現在価値」の考え方です。
NPV(正味現在価値) = 投資から得られる将来のキャッシュフローを「今の価値」に直して合計し、投資額を引いたもの。
具体例:設備投資の判断
新しい機械を500万円で買うか検討中。この機械を使うと、毎年150万円のキャッシュフローが5年間得られる。割引率は5%。
| 年 | キャッシュフロー | 現在価値(5%で割引) |
|---|---|---|
| 0年目 | −500万円 | −500万円 |
| 1年目 | 150万円 | 142.9万円 |
| 2年目 | 150万円 | 136.1万円 |
| 3年目 | 150万円 | 129.6万円 |
| 4年目 | 150万円 | 123.4万円 |
| 5年目 | 150万円 | 117.5万円 |
| 合計 | NPV = 149.5万円 |
NPV = +149.5万円 → プラスなので「投資すべき」。
NPVがプラス → その投資は価値を生む → GO NPVがマイナス → その投資は価値を破壊する → NO GO NPVがゼロ → トントン
割引率とは何か
**「将来のお金を今の価値に直すときに使う利率」**です。
割引率が高い = 将来のお金の価値を低く評価する = 投資のハードルが高い 割引率が低い = 将来のお金の価値を高く評価する = 投資のハードルが低い
実務では、WACCや資本コストを割引率として使います。
IRR(内部収益率)とは
IRRは「NPVがゼロになる割引率」です。
さっきの機械投資の例で、割引率を上げていくと、いつかNPVがゼロになる。その割引率がIRR。
この例ではIRR ≒ 15.2%。
IRRの使い方:
- IRR > 資本コスト(ハードルレート) → 投資すべき
- IRR < 資本コスト → 投資すべきではない
「この投資の利回りは15.2%。うちの資本コストは5%。差し引き10%以上のリターンがあるから、投資する価値がある」——という判断ができます。
NPVとIRRの違い
| NPV | IRR | |
|---|---|---|
| 答えの単位 | 金額(○○万円) | 利率(○○%) |
| 判断基準 | プラスなら投資 | ハードルレートより高ければ投資 |
| メリット | 金額で投資の規模感がわかる | 利率なので直感的にわかりやすい |
| 限界 | 割引率の設定が主観的 | 複数の解が出る場合がある |
基本的にはNPVが優先。 NPVとIRRで判断が矛盾する場合は、NPVを採用するのが正しいとされています(試験でも出る)。
診断士試験での出題パターン
1次試験(財務・会計)
- 「NPVを計算せよ」→ 各年のCFを現在価値に割引いて合計
- 「年金現価係数を用いてNPVを求めよ」→ 毎年同額のCFの場合に使う便利な係数
- 「IRRの定義として正しいものはどれか」
2次試験(事例Ⅳ)
- 事例Ⅳの定番問題。 「設備投資の可否をNPVで判断せよ」はほぼ毎年出題
- 「投資案AとBのNPVを比較し、有利な投資案を選択せよ」
- 計算では年金現価係数表が与えられることが多い
計算のコツ
年金現価係数を使えば一発。
毎年同額のCF(150万円×5年、割引率5%)の場合: NPV = 150万 × 年金現価係数(5%, 5年) − 500万 = 150万 × 4.329 − 500万 = 649.4万 − 500万 = 149.4万円
試験では年金現価係数表が与えられるので、暗記不要。「毎年同額CF → 年金現価係数を使う」を反射的に思い出せればOK。
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